2025-09

泰夫の短歌集

短歌集(縁・友・恋)

康夫の短歌集(縁・友・恋)縁寒の水を好みいし祖父は麻痺われの入学を一人勧め給いき麻痺われの入学を拒みいし校長も職退きたりと人づてに聞く自らの悩みを吾に告げし後カウンセラーの女性はじらい笑う重障者わが入院を嫌うらし婦長の物言いは丁寧なれど車椅...
泰夫の短歌集

短歌集(大阪行・旅)

康夫の短歌集(大阪行・旅)大阪行わが乗れる車椅子をば担ぎくるる阿波座の駅員は軽しと言いて便所にて寝ていし人もあると言う友とゲーム機にもたれ微睡むまどろ藤色に明けゆく港に近づきて錨を下ろす船の間を行く地下鉄の長き階段をわが車椅子担ぎてくれぬ名...
泰夫の短歌集

短歌集(見知らぬ人・道往き・ことば)

康夫の短歌集(見知らぬ人・道往き・ことば)見知らぬ人信号のボタンを押してくれし子に我が頬笑めば頬笑みくれぬ編物の合間にチョコレートをひとつずつ食ぶる少女の瞳にあいぬ麻痺われを見る人のあるを話しつつ妹夫婦と街を歩めり「かわいそうな人よ」と我を...
泰夫の短歌集

短歌集(家族・幼子・両親)

康夫の短歌集(家族・幼子・両親)家族嫁ぎたる妹の誕生日の迫りしを帰国せし弟が夕餉に言いぬらせん柔らかき螺旋を描く味噌汁の湯気を見ており話途切れて断酒会に入りたる父はカレンダーに飲まざりし日を丸に囲めり母の手術の後の連絡来ぬ家に叔父と呑みつぐ...