パソコン通信奮闘記
通信販売で注文していた、通信ソフトの到着が遅いのにしびれをきらして、PC-98のターミナル・モードでパソ通を始めたのが、去年の3月頃だった。古い雑誌を頼りにあ^ちこちのホストにアクセスしているうちに発見したのが、大阪のSKY-NETにあった、ほんの10行程度のBASICプログラム。
さっそくプリント・アウトしてそれを打ち込み、なんとかログ・ファイルを保存することが出来るようになった。しかし、DISK-BASICにはTYPEなどというコマンドはなく、まずはログ・ファイルを読むプログラムから作らねばならなかった。
やっとのことでそれが完成し、次はもう少し大きなプログラムをダウンロードすることにした。今度のは、登録したホストごとにスピードとかプロトコルを変えられるようになっていて、かなり便利なものだった。ただ、アップロードとか、アップロードする文章を作るルーチンなどは自分で作るようになっていて、まだまだ悪戦苦闘は続く。
そのうちにNETWORKERという雑誌でこの「オリーブNET」のことを知った。地元にこんな大きなホスト局があったなんて、全く知らなかった。幸いNEC漢字もサポートしているらしい。ともかくこれで電話料金を安くあげることが出来る。未完成のプログラムのバグを調べるのに使わせてもらおう。
プログラムはまだ漢字を送ることも出来なかったし、通信中にストップしてしまうという決定的な欠陥があった。何故止まるのかが解らなければ、これ以上行を加えても無駄である。「オリーブNET」のボードには『7.ソフト・ハ-ド何でも相談』があるので、そこに書き込んでみることにした。
88/05/11 17:00:30 GUEST プログラム オシエテ クダサイ
ターミナルプログラム ヲ ジサク シテイマスガ ウマク イキマセン トチュウデ 二分ホドトマッタリ シマス
ドコガ オカシイノカ BASICニクワシイカタガ オラレマシタラ オオシエ クダサイ
ヤスオ
書いてはみたものの、返事(レスポンスという言葉も知らなかった)なんて期待していなかったから、翌日アクセスして危うくそれを見落とすところだった。しかし、その日のうちにレスポンスしてくれた人がいたのである。それによると、それはガベージ・コレクションという現象で、その対策方法も書かれていた。初めての書き込みにこんなに速く返事が来るとは思いもしなかっただけに、感激もひとしおだった。
さっそく指示どおりプログラムをなおし、漢字を送信できるようにし、アップロードのルーチンも付け加えた。そして、レスポンスをくれた人にお礼の電子メールを送ったのである。おりかえし届いた彼のメールには、こちらから送ったメールの行末に半角のHが必ず付いているとあった。
それからプログラムをあれこれいじってみて、何度かメール交換してみたがHはひつこくつきまとう。しまいにはホスト・プログラムのバグではないかと、SYSOPさんに連絡までした。いろいろ調べてもらったが、原因は分らなかった。もうお手上げだと思っていたところに、SYSOPさんからの「PDSのターミナル・ソフトを使ってみないか」とのメールを受け取り、渡りに舟とばかりに申し込んだのであった。
WWIVTERM もう今では手放せなくなったこのソフト。なにしろ(MS-DOS)上で動くというのは、使いなれたワープロソフトで作った文書をそのまま送信できる。この便利さは、DISK-BASIKでさんざん苦労してきた者には、涙がチョチョ切れるぐらい感動モンだった。
で、最初に書いた通信販売のソフトはとうとう製造中止になり、何度も催促の電話をした挙げ句、発注してから4カ月後にやっと代金が送り返されてきた。しかし、ま、いいか苦心惨憺したプログラムで曲がりなりにもパソ通に成功し、見ずしらずの人とコミュニケーションする喜びを味わえたのだから・・・。
それにしても、あの行末のHの原因はなんだったのか、いまもって不明である。
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これは、高松の「オリーブNET」が機関誌を出すと言うので、そのために書いたものです。けれど、発行のめどもつかず、この原稿は眠ったままです。


