障害のある人と仲良くする方法
私は身体障害者療護施設で、寮母さんの手助けを 受けながら生活している42歳のおじさんです。ここには私のほかに50人の人が同じよ うに暮らしています。私は生まれたてのころ高熱が出て脳性小児マヒという病気になり、 それがもとで、手足も、首も、口さえも動きにくくなってしまいました。この文章はなん とか動く右手に箸を持って、パソコンのキーボードをそれで押すという方法で書いていま す。
さて本題に入りましょう。いちばん大切なことは、自分と違う人たちのいることを知る ことでしょう。たとえば、絵の具の色に様々な色があるように、人間にもいろんな人がい るわけです。ただ、緑色と水色とを比べてどちらが偉いかなどと考えないように、障害が あろうとなかろうと同じ人間なんだということをいつも頭においておくことです。
そして、気軽に話しかけて下さい。誰に対してでもそうであるように、話をすればする ほどお互いの気持ちや立場が分かってきます。ところで、さっき書いた私の状態を読んで もしかしたら「かわいそう」と思った人がいるかもしれませんが、「かわいそう」という 感情はしばしば自分より劣っている相手に向けられるものですから、ちょっとちがうなと 思ってしまいます。
むしろ私からすれば、「身体が動いても、それを十分活かせていない」人たちこそ『か わいそう』なのです。でも、こんな言い方は、逆の意味で差別かもしれません。とは言う ものの、障害を持った人々のなかには、自分自身を「かわいそう」だと思いこんで、立ち 直れない人もいます。そういう人たちは、たぶん健康だった頃、障害を持った人々のいる ことを知らなかったか、自分とは関係ないとでも思っていたのでしょう。
はっきり言っておきますが、いま健康な人も、いつかは障害を持つことになるのです。 そのときになってうろたえないためにも、障害を持った人々のことをもっと知るべきでし ょう。もちろん、身体や心に障害があるとなにかと不便です。たとえば、電気製品のリモ コンのボタンが小さいこととか、道路のアスファルトがかまぼこみたいな形になっている こと、駅の階段、バスのステップなどなど、あらゆる物が健康な人しか使えない構造にな っています。
もし、キミたちが大人になって職業についた時も、障害を持った人々のいることを忘れ ないで下さい。そして、そのことを仕事にいかしてほしいのです。そうすれば、障害を持 った人々がもっと明るく積極的に生きられる世の中になるのではないでしょうか。 98/11
参考ページ ハローねっと ボランティア・データベース


